尾道学研究会との連携行事
尾道に六ヶ寺(正念寺・西郷寺・常称寺・海徳寺・海福寺・慈観寺)、三原に一ヶ寺(観音寺)、福山市鞆の一ヶ寺(本願寺)の計八ヶ寺よりなる時宗門中は宗派の趨勢上決して有名な宗派・寺院ではありません。
時宗の各寺院も「古寺めぐり」の順路として参拝される観光客もおられますが、未だに時宗という宗旨名には馴染みの無い方の方が多いと思われます。
各寺院が抱える現状も檀家・信徒の皆様の高齢化やお墓の管理をされる方々の遠方への移住などの事情もあって、非常に心細い状態になっております。
しかし、尾道において時宗は如何なる身分も問わずにすべての人々を受け入れる一種の「カルチャーセンター」のような役割を果たしていました。特に地元の漁師を束ねる網元の商人衆からの信仰も篤かったようです。当山・正念寺を始めとして時宗各寺院には「灰屋」(後に広島銀行の前身)、豪商「七十屋」、また第十二代横綱・陣幕久五郎を輩出した尾道相撲の力士衆や親方衆から寄進された天井画や寄進札、記録が残っております。
尾道の時宗寺院は尾道の町人文化(港町文化)の一端を見ることの出来る貴重な遺産であるといえるのです。
そこで、我々尾道時宗門中は「祇園さんの常称寺への里帰り」を契機に、尾道の地域学研究会である「尾道学研究会」の皆様に尾道時宗への調査・研究を依頼し、以後同研究会との連帯行事を行っております。
毎年、尾道の初夏の行事である「祇園祭」の時期には尾道学研究会が企画・主催となって「常称寺と祇園さん」展・「尾道時宗」展といった尾道の時宗に関連した展示会・研究報告を計画して下さっています。
また時宗寺院の行事に積極的に参加して下さったり、山陽日日新聞様はじめ各種メディアの皆様に尾道時宗の諸行事に取材していただくよう働きかけて下さっております。